時任可愛い
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紅蓮の二章は既にブログにうp済みですが、カットした濡れ場込みで支部にうpしたので、紅蓮買ってないけど濡れ場が読みたい人とか紅蓮とかどうでもいいけど濡れ場なら読みたい人とかなんでも良いから青姦読みたい人は↓よりどうぞ。


http://www.pixiv.net/novel/show.php?id=4996735

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このまま何事もなければこんな表紙の新刊が並びます……
ページ数は112ページになりました……新書サイズにぎっちぎちに文字詰め込んであります。
読みづらいかもしれません……すみません……
後でスパコミの情報ページ更新します……今はもう……とりあえず寝る……

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10pしかないので各ページから適当にコマ抜粋して1pにしてあります……
久保ちゃんからの突然のDV。
理由のわからない時任。
時任の決断は!?
みたいなのがさらっと10p……

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感情起源論争、というものがある。
情動の起源を巡る歴史的な論争で、身体変化の認知が情動を生むというウィリアム・ジェームズとカール・ランゲの末梢起源説に対し、ウォルター・キャノンとフィリップ・バードが、視床が情動反応を調整する中枢であるとする中枢起源説を唱えた。
ジェームズ=ランゲは、刺激が入力され大脳皮質に達し知覚が生じると末梢神経が活性化される。そして生じた生理的身体的変化が大脳皮質にフィードバックされた結果、情動が生じるとした。しかし、キャノン=バードはそれに異を唱え、情動を生起させる刺激は視床を経由して大脳皮質に達し、その後、大脳皮質に情報を伝達して情動を生起させる。同時に、末梢器官にも信号を出して生理的反応を引き起こすと反論した。
簡単に言えば、泣くから悲しいのが末梢起源説で、悲しいから泣くのが中枢起源説だ。この論争はシャクター=シンガー理論も加わって現在においても科学的な終止符は打たれていないらしいが、そんなことはまぁどうでもいい。
 普通は、悲しいから泣く、と思うのだろう。
 だが俺は、感情が後付けだというジェームズ=ランゲの末梢起源説に、妙に納得したのだ。

 

数ヶ月前、時任は久保田に「好きだ」と告げた。相当の勇気を振り絞ったに違いない。彼の耳は真っ赤で、睫毛が少し震えていたことまで久保田は鮮明に覚えている。久保田はその必死の言葉に、「そう」とだけ答えた。俯いていた時任は、それ以上久保田が言葉を発するつもりがないことを悟って顔を上げた。途轍もなく強い時任がその時だけは簡単に手折ることが出来そうな程、ズタズタの表情で、立っていた。
久保田は時任に応えなかった。何の返事もしなかった。そして、無言で今までの関係で居続けることを強要した。
時任のことを愛してないのか?
いや、多分愛してる。正解なんて知らないが、きっとこれは愛の定義に限りなく近い。
時任に欲情しないから?
そんなワケはない。マスタベーションの時に、脳裏に浮かべるのが誰かを考えれば。
じゃあ、何故?

 「久保ちゃん、女とキスしてた」

 これ以上ない程、不機嫌そうな顔をして時任はそう言った。この世の気に入らないこと全てを眼前に曝されたかのような、もの凄く不機嫌そうな顔だ。
 しかし彼の不機嫌は、他の感情をカモフラージュする為の虚勢であることが間々ある。
 丁度、今のように。
「あの女と付き合ってんの?」
「いんや?」
 即座に否定する。
 ソファーに胡座をかいて隣に座っていた時任は、明らかに安心したように力を抜いたが、眉間の皴はそのままに、今度は顔を不可解そうな表情へと変えた。
「でも、キス……」
 キス、という言葉を口にする度に震える睫毛を興味深く見詰める。彼くらい長いと、睫毛も感情を表すらしい。
「俺はキス、されただけ。したくてしたワケじゃないよ。向こうが勝手にしてきただけ」
 そう。呼び出して一方的に恋情を告げて、断りの言葉を言い終わらない内に唇を押し付けてきたのは名前も知らない女の子であって、久保田ではない。したいようにさせていたら、舌まで入れて絡めてきた。近頃の女の子は随分と積極的だなと感心したが、彼女がそうなだけかもしれない。しかし、久保田に応じる気が一切ないのを悟ると、流石に唇を離して何処かへ駆けて行ってしまった。けれど、見ていた時任には女の子が去った理由は分からなかっただろう。もしかしたら久保田も舌を絡めて応じているように見えたかもしれない。
 時任は、見ていた。
 そして久保田はそれを、知っていた。
 何故?
「まぁ、それなりに気持ち良かったけどね。男だし?」
 言う程良かったワケではないが、敢えて口にする。
 その言葉に傷付いたように項垂れる時任を見て、口角を上げる。
 時任が自分の言葉に一々苦しむ様子を見て、暗い喜びが身の内から湧き上がる下種な性を、久保田はとっくに自覚していた。  
時任が久保田の挙動に傷付き苦しむのは、久保田のことが好きだから。
 彼はその全てで自身の言葉と気持ちを証明してみせる。下手すれば雑音よりも煩わしいと思っていた他人の感情が、これ程の喜悦を脳髄に生じさせるということも時任が教えた。
 俯く頭の頂に手を置き、猫っ毛をさらりと撫でる。
 今、甘く愛してると囁けば、時任は心を削る懊悩からいとも簡単に逃れることができるだろう。愛し合っていると知った二人の心はきっと繋がるのだろう。
 体も。
 だが、久保田は言わない。
 今、この時、時任が久保田の事を好きで、隣に居る、それだけで久保田には十分だった。
 何も変えたくない。

 猫は、追いかければ逃げてしまう。
 擦り寄ってくるのを待つしかない。
 触れても抱いてもいけない。

 時任を不可触な存在に仕立てあげ、それさえ守ればこのままでいられるなどというのは久保田の勝手な思い込みで、願いだ。
 そんな愛だの恋だのではなくもっと現実的で一方的な久保田の都合。
 残酷なことをしている自覚はあった。時任が今抱いている不安や恐怖は、久保田のそれと同一のモノなのだから。
 愛してるよ。ずっと側にいるよ。
 心の中でだけ囁く。
 だからずっと側に居て。
 その為の手段を選ぶ気は元よりない。
 前髪の隙間から時任は久保田を仰ぎ見た。瞳には変わらぬ痛苦が滲んでいる。されるがまま頭を撫でられながら時任は、もうそれ以上その件について、何かを言うことはなかった。

 

 しかし、叶わぬと知っているからこそ人は願うのだろうか。
 久保田は、時任を探して校内を歩いていた。放課後、時任が久保田の側を離れ、行き先も告げず一人でふらりと何処かへ行ってしまうことは珍しい。どちらかといえばそれは久保田の行いだ。だが、猫の気まぐれには慣れている。放課後の喧騒が空気を震わせる廊下を、久保田は屋上に向かって歩いていた。今の彼の機嫌は決して悪くはなかった。
時任から言われた好き、を思い出す度、久保田は幸せな気分になる。綿菓子の様なふわふわとした覚束無さと糖度のそれは決して久保田好みのものではない筈なのに、何度でも噛み締めたくなった。
 この幸福感は時任にも手にする権利がある。
 だが、久保田は言わない。
 言わなくて済むなら、一生言わないかもしれない。
 独り善がりな願いの為に。
屋上へと続く階段を上っている途中で、微かに聞こえてきた話し声が時任のものであることに久保田は直ぐ気付いた。時任に関してのみ五感が鋭敏になる。著しく衰えた視覚でさえも。
階段の踊り場、屋上の鉄扉の前で時任と見知らぬ女の子が話していた。いや、どう見ても告白の場面だった。女の子の瞳は涙と恋心で潤み揺らめき、時任は照れたように俯いて女の子の言葉に耳を傾けている。そして久保田は影からそっとそれを見ている。その情況は、立場こそ逆転しているものの、先日のそれと酷似していた。違いは、久保田が見かけたのは偶然で、時任が見かけたのは偶然じゃないということか。
ごめん、一際強く、その言葉が久保田の鼓膜を打った。
時任が彼女の想いを断ることは予定調和だった。時任は、久保田が好きなのだから。
そんな驕りが招いた、というのは考えすぎだろうか。
女の子が俯き、時任が気まずそうに視線を反らした直後だった。顔を上げた彼女は、時任の方に一歩踏み込むと、極自然に、唇を、時任の唇に、そっと押し当てた。その口付けに、彼の意志が微塵も介在していないことは明白だった。
 俺はキス、されただけ。
 いつぞやの、誰かの言葉が脳裏に蘇る。
 羽根のように軽く、瞬きする間の刹那的なキスだった。目が合った瞬間に零れ落ちた涙は、演技かと思う程のタイミングの良さだった。それを計算なしでやってのける。女は強かな生き物なのだ。そのまま倒れ込むようにして抱き着いた豪胆な神経にも驚嘆を禁じえない。
時任は、突き放しはしなかった。胸の中で泣きたいだけ女の子を泣かせてやった。でも、その細い背中を抱き返すようなことはしない。その場凌ぎの優しさを与えてやれるほど、彼は器用ではないのだ。
最後まで見届けることなく、久保田は踵を返した。結果が分かり切っているから、そうではない。
余裕がなかった。二人の唇が触れた瞬間、脳内で何かが静かに爆ぜ、そこからタールのように粘っこく流れ落ちるモノが胸と気管を塞ぎ重く絡みつく。指先がやけに冷える。何らかの感情が、圧倒的な質量と重量で神経を攻撃していたが、それが何かまでは分からない。
今、何を感じているのかは良く分からないが。
今、何をしたいのかは明白だった。
しかし今、あの場でこの衝動を解放したら、単なる惨劇に終わることを久保田は自覚していた。自覚できるだけの理性があったことは奇跡とさえ言えた。
血液に乗って全身を巡り細胞を刺激するこの不快な衝動を如何に効果的に解放するか、その事だけを久保田はずっと考えていた。
そうして気を、紛らわせていた。

 この感情は、何と言う?
 分からないなら分からないまま衝動に身を任せてしまえばいい。

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その日の昼下がりの市庭は奇妙な程に静まり返っていた。悪評高い『夜の盗賊団』が姿を現した為だ。
 彼らは市井の人を標的に劫掠や暴虐な行いをすることはないが、一方で、一度刃を向ければ一都市を撃滅させるまで攻撃の手を止めることはない、『夜の盗賊団』はそういう性格の組織だった。現に、市場の外方に配置された馬車の荷台から覗くのは、重砲二門。剥き出しの恐嚇に、官憲も遠巻きに看視する外に術がない。
 市場を占有したかの如き有様で、『夜の盗賊団』は買い出しを楽しんでいる。
「酒を買えよ酒を。今日は飲むぞ」
「今日も飲むの間違いっすよ、お頭」
 呆れた様な手下の肩を叩いて豪快に、頭と呼ばれた壮年の男は笑った。
「細けぇことは気にすんな」
 百人程の子分を引き連れ、山程酒を買わせ、酷く機嫌が良さそうな頭目の前に、何処から現れたのかふらりと一人の少年が立塞がった。
「なぁ、俺のこと買ってよ」
 随伴する手下達の手を躱し、取り縋る様にして頭目に寄り添う。男は歩みを止めた。少年は外衣の合せ目を解く。露わになる華奢な首と頸輪。頭目は眉宇を寄せた。
「主人の小遣い稼ぎか?」
「安く売る気はねぇよ。金が有りそうだからあんたに声掛けたんだ」
 前髪の隙間から長い睫毛に縁取られた黒玉が濡れた様に揺れ、雪を欺く紅裙が男を見上げる。白昼にも関わらず少年が纏うのは情炎の名残であり、その目は夜に生きてきた者の目であった。
「俺が誰だか知ってるな?」
 だが、海千山千の男に生半尺な色香は通じぬ。頭目は佩帯している大振りの剣を抜くと、刃で太腿を撫でそのまま股間に突き付けた。
「両手両足削ぎ落として、股座に増やした穴に突っ込むのが趣味かもしれねぇぜ?」
 言葉こそ残忍酷薄な色に満ちていたが、胸懐に抱いていたものは寧ろ、奴婢に身を窶しこの様な賊徒にまで春を鬻ごうとすることへの憐愍の情に近く、それ故に脅して追い払う事が彼の真意であった。
 真意はどうであれその眼光には男の苛虐な言葉を真実だと思わせるだけの凄味があったが、畏怖し遁逃するどころか微動だにせず、ひたりと頭目を見据えたまま、少年――時任は言い放った。
「やってみろよ。できるもんならな」
「できるもんなら……ぶははははははッ!」
 空を振り仰ぎ呵々大笑した。一通り笑うと剣を収め、時任の肩を抱いて再び歩き出した。
「こんな大馬鹿野郎、初めて見たぜ。おい、連れて帰るぞ」
「お頭、こんな得体の知れねぇ餓鬼ッ!」
「賞金首の自覚あるんスか、今までとは違うっすよ!」
 頭と時任の遣り取りを黙視していた口々に戒飭したが、頭は取り合わない。
「ここまで言うんだ、大した名器なんだろうさ」
 時任を見下ろし、匪賊相応の酷薄な笑みを浮かべた。
「試してみるのも悪くねぇ」
市場での買い物を終えた一団は引き揚げ、雀色時に郊外の拠点へと参着した。
 地図の読めぬ時任に塒の在処が相浦の説明通りであるのか分からなかったが、尠くとも幕屋の配置は相違ない様であった。
 参着した途端、時任は頭の婢女達に引き渡された。流れる様な手際の良さで外衣から下穿きまで全て奪われ、香草の石鹸にて全身隈無く洗滌される。
「お頭の前に出るならもっと色っぽくないとね」
 薄く化粧を施され、髪に飾り玉を編込まれた時任は終始辟易していたが、女達は美しい翫具を嬉々とし、時任は為す術がなくされるが儘に飾り立てられた。
 そうして面紗を被り繻の衣装を身に着けた時任が大きな穹廬に通された時、樽俎は既に始まっていた。
 歩く度に飾りの鋳貨がしゃなりと涼やかな音を立て、胸元の紅玉が煌く。注がせた馬乳酒を豪快に呷っていた頭目は、その姿を見て一驚した様に片眉を上げた。
「意外と似合ってるな」
「あんたの命令じゃなかったのか」
「もちっと俺好みにしろとは言ったが……」
 薄く紅を引いた唇、僅かに繻に浮び上がる体の線、剥き出しの腰や太股しげしげと眺めた頭領は慮外の命を時任に出した。
「お前、踊れ」
「は……?」
時任は絶句する。確かに着せられたのは踊子の衣裳であったが、舞蹈等見た事も無ければ舞った事も無い。
「舞なんて知らない」
「その辺の阿呆だって音楽が始まれば踊り出す。何も知らねぇ餓鬼でもだ。上手い必要はない。だが、俺をその気にさせてみろ」
そう言われ、強引に遊宴の輪の中心に押し出される。酔漢達は余興に興奮し、馬首琴を掻き鳴らした。時任は途方に暮れた。舞など知らぬが、頭目を閨房に誘引し部下と分断するまで、不興を買う訳にはいかなかった。
意を決し、優雅に一礼すると拍子に合わせ足踏みする。目を瞑り音に集中すると、不思議と体は自ら音の取り、跳ね、回り、手を上げ、足を運び、全身で歌う様に踊る。目を開け面紗を掴むと、頭目の目を見据えたまま目元を残して面紗で覆い隠し、艶かしく腰を揺らした。舞は知らずとも男を誘う目線と腰の揺らし方は知っている。艶然と笑い挑発するように手首を動かすと、男達は囃し立て、手拍子を叩いて盛り上がった。
 時任はその内の一人の腰から刀を抜取ると、刀剣を煌かせ剣舞を始める。無論、正しい所作等知らぬ為、音楽に合わせ想見の敵相手に斬り結んでいるだけであった。自在な剣捌きに喝采が上がる。だが、時任が今握っているのは舞の為の剣ではなく、実践の為の剣だ。重く、自在に扱うには相応の膂力と技倆が必要とされる。蓋し場の幾人かは時任が手練れであること看取しただろう。無論、頭領も。
馬首琴の音に鋳貨がしゃんしゃんとぶつかり合う音が混じり、一層昂揚する。終曲が近い。時任は幾度も回った。回る度に裾が揺れ、抜ける様な肌が露わになっては隠れる。僅かに、此の儘頭領の喉に剣を突き立て為留める可能性を考える。殺すことは可能だ。だが、生還は不可能。それでは意味がない。
 曲が終わり、頭目の元に一足飛びに踏み込むと喉元に剣先を突き付けた。幾人かが気色ばむが、剣先を突き付けられた当人は愉快そうに笑うだけであった。男は時任に殺意がないことを看破していた。
「上手いじゃねぇか。本当に踊り子だったのか?」
「舞なんて知らねぇよ……踊ったのは初めてだ」
 時任は剣を放り捨てると、武骨な膝に撓垂れ掛かった。息を乱して上下する喉を晒しながら、頭目の見上げ問い掛ける。
「……その気になった?」
 頭目は笑って盃を置く。膝上の胸倉を掴んで引き寄せると、耳元に囁いた。
「奥、行くぞ」

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