時任可愛い
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「葛西さん。時任見てない?」

西館1階ロビーで他の刑事に指示を与えていた葛西さんに、久保田探偵はそう声を掛けました。

葛西刑事は甥のその、平素と変わらない表情ながらも、怪盗と対峙していた時よりも遥かに真剣な空気に面食らいましたが、

「時坊?見てねぇな」

と首を傾げました。

二人のやり取りを見た新木さんが、横から口を挟みます。

「時任君?時任君なら東館じゃないのかな。君が東館に来るよう伝えてくれって僕に言ったんじゃないか」

久保田探偵が細い目をほんの少し見開きました。

それだけなのに、新木さんの背筋が思わず強張ります。

「言ってないよ?」

「へ?」

「俺、建物の裏でずっと煙草吸ってたんだけど。一人で」

「……へ?」

ワケがわからない新木さんは呆けたような声を出しますが、久保田探偵はそれに構うことなく背を向けて、東館の方に駆け出します。

探偵のただならぬ様子に葛西さんと新木さんが慌てて後を追います。

東館1階の重厚な樫の扉はどっしりと閉まっているように見えました。

しかし、久保田探偵がノブを回すと簡単に扉は開きました。

葛西さんが訝しげな顔をします。

「鍵が開いている?」

東館は封鎖されていた筈です。

葛西さんにもある予感が過り、顔に緊張を走らせました。

「時任!」

久保田探偵が大声で時任少年の名を呼びます。

薄暗い館内はシンとして、何の気配もありません。

探偵は注意深く隅から隅まで目を走らせながら、ずんずんと館内を進んでいきます。

窓がないために外光の射さない室内は暗く、見上げた階段の上には真の暗闇が蟠っています。

懐中電燈を点けて、三人はそれぞれ時任少年の名前を呼びながら上へと上がっていきました。

最上階である、唯一月光とステンドグラスの光に揺れる3階。

そこにも、時任少年の姿はありませんでした。

「おかしいな……」

四隅に懐中電燈の光を当てる二人の刑事。

久保田探偵はふと目をやると、ステンドグラスを背にした一際大きなガラスケースに気付きました。

その中には鎮座している筈の宝がなく、代わりに一枚のカードが置かれています。

探偵がガラスケースに手を掛けると、固く施錠されている筈の鍵はまたしても開いており、カードを手に取ると印字された文字に目を走らせます。

『十二時。黒い子猫と暁の緑涙を頂戴しました――黒蜥蜴』

「黒蜥蜴……」

「黒蜥蜴だと!?」

「なんで黒蜥蜴が!?」

久保田探偵の漏らした名前を耳にし、葛西さん達が驚いて掛けよってきました。

そして、ガラスケースの中の異常に気付きます。

「『暁の緑涙』をやられたか……」

「ウチの大事な黒猫もね」

探偵は葛西さんにカードを手渡しました。

それを見ながら再度、なんで黒蜥蜴が……と呟きます。

「実はさっき、真田さんから電話があったんだよねぇ」

何で二十面相がお前の携帯番号を知ってやがるんだよ、とは流石に葛西さんでもつっこめませんでした。

「で、野郎はなんて?」

「端的に言えば『今回の予告状も二十面相も偽物。ある誰かと協力した』」

「二重の替え玉か……」

渋面を作り、がりがりと絆創膏の上を親指で掻きます。

久保田探偵も頭を掻いて、

「流石に盲点だった。確かに違和感は感じてたんだよなぁ。バニラの匂いがしなかったから。アークロイヤルの」

「しかし、まさか野郎が黒蜥蜴と組むとはな」

世間の認識では二人はライバルです。実際は兎も角も商売仇であることは事実です。

「利害の一致から……って言ってたね。確かに今回は先入観の盲点を突かれたな。予告状通りに犯罪が行われるという先入観。

まぁこれは真田さんの目的が俺を誘き出すことで犯行は二の次っていう特殊な事情があるから、普段なら割と信頼に足るものなんだけど。本物なら」

なんか嫌な信頼でした。

「でも偽物だったワケだし?普通に考えれば予告状なんて百害あって一利なし、陽動に使う方が賢いやり方ではある。

警察の方でも真田さんの予告状には事情が事情だけに信頼をおいてたし、だからこそ今回の犯行は成り立ったワケだけど」

「逃げたと見せかけてぬけぬけと現場に残ってるとも思わなかったしな。しかしいいのか?誠人。

冷静に分析してる場合じゃないだろう。時坊が攫われたんだぞ」

「冷静に見えるんだ」

久保田探偵が薄く笑いました。

「そっか」

「…………」

言葉を失う二人。

そして悟ります。久保田探偵が見た目以上に動揺していることを。

普段頼まれても中々することのない推理を披露して思考を冷やそうとするほど、頭に血が上っていることを。

そういう時の久保田探偵は世間のイメージとは裏腹に、知略ではなく暴力で事の解決を図ろうとすることを身に染みて知っている葛西さん達は内心冷や汗をかいていましたが、そんな彼らに向かって見た目はいつも通り飄々と、

「盗まれたのが時任である以上、絶対に取り戻すけどね。ついででよかったら『暁の緑涙』も探してくるけど」

「ああ……ついででいい。時坊を頼む」

「当然」

不敵な微笑を浮かべた久保田探偵はそれ以上二人と言葉を交わすことなく背を向け、現場を後にしました。

懐から携帯を取り出し、電話をかけます。

「もしもし?桂木ちゃん。……うん。『泣かない未明』は無事だったんだけど、ちょっとね。詳しい話は後でするから相浦に代わってもらえる?」

午後一時の少し前。

猫背気味なその背中を、月だけが黙って淡く照らしていました。

拍手[3回]

一仕事終わり、一人一服する久保田探偵。

西館の一階にひっそりと設けられた喫煙所。

どんな事件でも、解決した後は決まって一人でセッタを燻らすのが数少ない久保田探偵の癖です。

静かな、しかし壁の向こうで慌しく動く警察官達の振動が空気を微かに揺らし、紫煙がゆったりと流れていきます。

それを空っぽの心と頭で眺めていると、

――ピッピーロピロピロピロピロピロピロピッピーロピロピロ~♪

ジーンズのポケットに捻じ込んである携帯が甲高い電子音を響かせ、静寂を切り裂きました。

それを手に取って、何とはなしにディスプレイへ目をやります。

非通知。

「もしもし?」

『私だよ、久保田君』

耳へと流れ込んできたのは聞き覚えのある、しかしあまり聞きたくはない渋めの声。

「……真田さん」

先ほど対決し、そして久保田探偵に敗北の末、遁走した筈の怪盗の名前を呼びます。

『また君に負けてしまったようだね』

「はぁ。別に勝負してたつもりはありませんがね」

『相変わらずだな』

その言葉に何か不快な含みを悟り、久保田探偵は眉を顰めました。

『『純金の百手観音像』を巡って戦ったあの日のことは覚えているかね?』

「……忘れもしませんよ」

それは怪盗との何度目かの対決でした。その時、久保田探偵は一瞬の隙を突かれ、その手から時任少年を拘引されてしまったのです。

自身の手から時任少年を失った薄ら寒くなるような体験。

その後無事に取り戻せたとはいえ、愛してやまないものを守れなかった、少しの間とはいえ失った、忘れたくても忘れられない苦い思い出です。

『時任少年が私の手に落ちたことを悟った刹那の君の顔。未だに焼き付いて離れないよ。

恐怖と絶望。それらを糧にして燃え盛る殺意。あれこそが君の本質なのではないかな?

私はアレがもう一度見たい。その為だけに私は盗人活動を続けているようなものだよ』

胸中を虫の様に這いずり回る、嫌な予感。

「……何がいいたいんです?」

 

『あれは私ではないよ』

 

あれが何なのか。

久保田探偵の頭脳は一瞬で解答を導き出しましたが、ただそれを信じたくないために、それを怪盗に問います。

「あれ……って?」

『今日、二十面相として君の前に現れたのは私ではない』

嫌な予感。

それが、油断している自分の状況と相俟って、耐え難い焦燥と不安を呼び起こします。

何を見逃した?

『偶然彼と知り合う機会があってね。利害の一致から協力することになった。

今回私がしたことは、予告状を出したこと、そして彼に部下を貸し与え変装のちょっとした技術提供をしたことだけだ。

どうだ、彼の変装も大したものだったろう』

電話越しに怪盗の含み笑いが聞こえ、それが酷く耳障りで。

「……つまりあの予告状は偽物ってこと?」

『そうなるな』

「目的のモノも……違うと?」

二十面相はその問いには答えず、二言だけ探偵の耳朶に残し、ぷつりと通話を切ります。

探偵の耳にはその言葉がいつまでもリフレインし続けました。

 

 

 

 

 

 

 


「彼は誰だろうね?」

「そして、君の大事な彼は何処にいるのかな?」

拍手[2回]

怪盗が逃亡してから間もなくのこと。

まだ大勢の警察官が現場検証などで大わらわな中、きょろきょろと辺りを見回しながら走る小柄な影が一つ。

「全く……毎回毎回」

ぶつぶつと文句を言いながら、久保田探偵を探しているのは時任少年です。

探偵は事件の後、姿を消す妙な癖があり、その度に時任少年は久保田探偵の姿を探すハメになるのでした。

建物の外でも探してみるかと階段を下りかけたところで、2階から上ってきた新木さんとばったり出会います。

丁度新木さんは時任少年のことを探していたようで、呼び止めるように声を掛けられます。

「ああ、いたいた。時任君。あっちで久保田君が呼んでいたよ?」

「え、久保ちゃん?」

立ち止まって、新木さんを見上げます。

「何処に?」

「東館に来てって伝えてくれって」

それを聞いて、時任少年は首を傾げました。

東館は封鎖してるっていってなかったっけ?

不思議に思いましたが、深く考えることなく、

「ふーん。サンキュッ」

新木さんに礼を言って駆け出しました。

階段を下りて、2階に向かいます。

2階にある連絡通路はシンとして、奥に人の気配はありません。

しかし臆することなくスタスタと進み、閉ざされた東館の扉を力一杯押し開けます。

重厚な樫の扉は妙にすんなりと開きました。

時任少年はひょいっと中を覗きます。

西館と同じレイアウトの空間には、やはり誰も居ません。

「久保ちゃーん?」

大きな声で久保田探偵の名を呼びながら、扉を閉めてぐるりと2階を回ります。

探偵ののっぽな姿は相変わらず見当たりません。

「どこだよ……」

とりあえず上から探すか、そう思った時任少年は3階のフロアへと続く階段を駆け上りました。

果たして、久保田探偵はそこにいました。

ステンドグラスを背に、大きなガラスケースに凭れかかってこっちを見ていました。

色硝子から洩れる淡い月明かりが七色に着色されて、床に色々な色を飛び散らせています。

それを背にした探偵の表情は逆光で暗く、暗い部屋の中では殆ど伺うことができません。

「久保ちゃん!探したんだぞ!なんでこんなトコいるんだよ……ッ!」

時任少年がぷりぷりと文句を言いました。

しかし、久保田探偵は黙って微笑を湛えているようでした。

時任は傍に駆けより、ひょいっと探偵の背後にあるガラスケースを覗きこみました。

中には金の鎖に繋がった大きな緑色の宝石が、スタンドグラスの光を受けてキラキラ輝いています。

「これが『暁の緑涙』か?」

不思議な魅力を湛えたそれに惹き付けられるように見ていると、ふいに久保田探偵が、

「おいで、時任」

と言って両手を広げました。

時任少年は誰も見ていない時にいつもしているように、バスンッと思いきり抱き着いて甘えるようにぐりぐり頭を押し付けます。

そして。

ある事に気付いて。

不思議そうに時任少年は探偵を見上げました。

この距離では暗くとも表情が良く見えます。

「……久保ちゃん」

「何?」

返事をする久保田探偵は、いつもと同じ柔らかい笑み浮かべています。

いつもと同じだけど……

でも……

 

「なんで煙草の匂いがしねーんだ?」

拍手[2回]

「九時五十分……」

久保田探偵が時計を見て、そう呟きます。

二十面相の予告時間まで後十分足らず。

閉めた窓の前に警官が二人。バルコニーにも二人。二つの階段にそれぞれ四人。階下にも幾多の警官が己の持ち場を守り、蟻さえ見逃さぬ警戒です。

美術館の上空には警察のヘリまで出動し、一台が旋回しながら怪盗を警戒していました。

『泣かない未明』が収まったケースの前には久保田探偵、その助手、葛西さん、新木さん、館長さんが油断なく目を光らせています。

探偵はいつもののほほんとした雰囲気でしたが、探偵以外はぴりぴりと神経を尖らせています。

数時間前まで己が美術館の防犯設備に自信満々だった館長さんでさえ、冷や汗をその薄い額に浮べているのでした。

怪盗二十面相。

どんなに不可能な状況からでも魔術のように鮮やかな手口で御宝を奪い去る、稀代の大怪盗。

彼は予告した時間を違えたことはありません。

 

十時。

 

その場にいる全員に緊張が走ります。

カチ、カチ、カチ、カチ……

秒針が規則正しく時間を刻む音だけがその場に響きます。

十時、一秒……二秒……三秒……

針が進んでも怪盗は現れません。

誰かがほっと安堵の溜息を吐き出しました。

その時。

カッと閃光が走りました。

その場にいた誰もが眩しさに一瞬、目を固く閉じてしまいます。

その一瞬。一瞬です。

次に目を開けた時にはもう、『泣かない未明』は忽然と姿を消していました。

新木さんが叫びました。

「き、消えたッ!!?」

部屋のあらゆる場所から照明が一点に集中し、光の中心にあるガラスケースの中は空っぽです。

「そ、そんなッ!」

館長さんは転がるようにしてガラスケースに駆け寄るとポケットの中から自動車の鍵のようなものを取り出し、それに付いていた小さなボタン――多分、防犯装置の解除ボタンでしょう――を押しました。

そして目を庇いながら震える手で鍵を指し込んでガラスケースの蓋を開け、悲鳴を上げるように叫びました。

「な……ない!未明がないッ!」

悲鳴と同時に、室内の照明が一斉に消えて真っ暗になります。

ガシャン――ッ!

耳障りな音が響き、ステンドグラスが粉々に砕けました。

振り仰ぐと黒々としたシルエットが月明かりに浮び上がります。

「二十面相だッ!」

直ぐに警察の強烈な光線に地上から照らされ、ワイヤーらしきものにぶら下がった二十面相が姿を現しました。

特徴的な黒いマント、ニヤリと不気味に笑う無機質な仮面、そして左手に抱えているのは『泣かない未明』です!

怪盗は探偵を見て笑うと(仮面を着けているためあくまでも雰囲気ですが)ぶら下がったままヘリで悠々空を飛び去ってしまいました。

「あれは警察のヘリじゃねぇかッ!!」

「葛西さん!警視庁から連絡がッ!!ヘリ置き場で搭乗予定だったパイロットや刑事が全員縛られているのを発見したそうです!ヘリが一台、二十面相に乗っ取られましたッ!」

「遅ぇってーんだバカヤロウッ!!」

葛西さんがぎりりと歯軋りします。

他の古参の刑事さんも怒りで顔を真っ赤にして、新木さんに怒鳴りました。

「警視庁に連絡して大急ぎであのヘリの追跡をさせろッ!地上からもパトカーで可能な限り追うんだッ!」

警察のヘリで逃亡なんて、何とも警察への皮肉と侮蔑に満ちた所業ではありませんか。

警察の面子は丸潰れです。

刑事さんも警官もいきり立って、現場は上へ下への大騒ぎです。

その場の混乱を収めたのは一発の銃声でした。

――ドンッ!

「はーいみなさん落ちついて下さーい」

拳銃を天井に向けてぶっ放した久保田探偵は、呆れかえった顔の葛西さんに拳銃を返して唖然とした一同を見まわし、軽い口調ではっきりと言い放ちました。

「『泣かない未明』も犯人もまだこの場ですよ」

「二十面相はソコからヘリで逃げたろうッ!君も見たじゃないかッ!」

そう抗議したのは新木さんです。

そうだそうだと同調する刑事さん達を手で制して、探偵はステンドグラスの割れた窓の下に歩んで行き、しゃがみ込みました。

「この破片見てよ。殆どが室内に落ちてるっしょ。おかしいと思わない?二十面相がこの部屋の中から窓を割って逃げ出したなら、破片は部屋の外に落ちる筈だ」

「じゃ、じゃあアレはなんだったんだ!?」

「フェイクっしょ。多分、ヘリをジャックした二十面相の部下が二十面相に変装して偽物の『泣かない未明』を抱え、ヘリからぶら下がり外から窓をぶち割った。そうしていかにも二十面相が窓から逃げたように偽装したんじゃない?」

動揺する現場。

「何の為に!?」

「警察の注意を内部から逸らすためでしょ。犯人が逃走する姿を目視すれば警察は全力で追うだろうけど、ブツだけ消えてて犯人が逃げた痕跡がなきゃ、警察はここにいる人間を疑う。二十面相はそれを避けようとしたってワケ」

「あ……」

パキリ……足で踏みつけられたステンドグラスの破片が固い音を立てて割れます。

立ち上がって再びガラスケースの前に立った久保田探偵は、ある人物を見つめます。

「となれば、考えられるのは、二十面相はこの中にいるってことだ」

 

「ねぇ真田さん。……怪盗二十面相って言った方がいいかな」

 

貫くような鋭い視線の先にいる人物。

その場にいる全員がその人物を見て、驚きの声を上げます。

幾多の視線に晒されて――館長さんは目を見開いて後退りました。

「な……何を言って」

「お互い無駄な労力割くのは止めません?それでもまだ足掻くつもりなら、遠慮なく顔のマスク剥ぎ取らせてもらいますけど」

「……」

久保田探偵と館長が静かに睨み合います。

無言のやり取りが数秒間続いた後、館長がフッ……と微笑みました。

心なしか表情が精悍なものに変わり、背後に薔薇が出現しました。

声も一転して渋くダンディに変わります。

「流石だよ久保田君。それでこそ私の見込んだ男だ」

もう誤魔化すことなく怪盗二十面相は久保田探偵を手放しで賞賛しました。

「……いつ、私だと分かった?」

「最初から」

そうです。探偵は一度も館長さんのことを『館長さん』とは呼んでいなかったのでした。

「最初は確信があったワケじゃないんですけどね。ただ、俺が変装の名人だとして、警察が周りを取り囲んでいる最新の防犯設備の施設から予告時間にお宝盗むとしたら、誰に変装するのが有利か?って考えたら、そりゃ館長さんっしょ。

で、相浦に調べてもらったら、予告状が出される数日前に一日だけ館長さんの行方が曖昧な日があった。

何時も決まった時間に帰ってくる旦那さんがその日に限って何の連絡もなしに家へ帰ってこなかったって。

奥さんはすーごく心配してたのに、翌日の朝ケロッとした顔で帰ってきて、何をしていたのかもはぐらかした……

という奥さんの証言もあった。ちゃんと帰ってきたし、その後も普段通りだったから奥さんは警察にもその事は言わなかったみたいだけど、明らかに怪しいっしょ。入れ替わりが行われた可能性は十分だなーっと」

「おい、『泣かない未明』は何処に隠し持ってやがるんだ?一体」

慌てて葛西さんが口を挟みました。

泣かない未明は大玉のスイカ半分程度の大きさで、純白金のそれは決して懐に入れて隠しておけるような質量ではありません。

館長の扮装をした二十面相は一見してそんな大きなものを持っているようには見えませんでした。

「腹の中でしょ」

「飲んだのか!?」

「まさか。真田さんの腹は本物の館長さんと違ってあんなでっぷり出てないじゃない。中が空洞の張りぼてになっていてソコに隠してるんじゃないんですかねぇ。真田さん、ちょっと出してみてもらえます?」

二十面相は観念したのか、それでも雰囲気だけは余裕たっぷりに懐からナイフを取り出して自らの腹を縦に裂きました。

勿論、血の一滴も出ることはなく、手をつっこんで中から取り出したのは紛れもなく『泣かない未明』でした。

驚愕と感嘆に湧く現場。

しかし、そこに水を差すように怪盗は不吉なことを言い放ちました。

「忘れてはいないかな?私が盗むと予告したのは『泣かない未明』と『時任君』だ。今頃、私の部下が君の事務所に押し入って時任君を盗み出しているはずだよ」

怪盗にしてみれば久保田探偵に打撃を与えるとっておきの一言……の筈でした。

しかし、それを聞いても久保田探偵は慌てることなく不思議な微笑を浮かべています。

その時、館長さん……いえ、二十面相の上着ポケットが細かく振動しました。

「失礼」

と言って、携帯に出る二十面相。

二言、三言の短いやり取りの後通話を切って、なんとも言えない視線を久保田探偵に向けます。

「部下から連絡があった。……時任君が事務所にも何処にもいないそうだが、一体何処に隠したのかね?」

「何処も何もここにいますよ」

久保田探偵は隣にいるにゃんこな探偵助手の頭を撫でて、

「怪盗二十面相ともあろう人が、目の前の変装を見破れないなんて、ねぇ。ここにいる可愛い女の子は俺の敏腕助手時任君です」

「可愛いゆうな!」

むっとした顔で探偵を睨んで、頭上の手をばしっと叩きます。

目深に被っていたにゃんこ帽子を引き上げ、ついでにセミロングのかつらもずるりと脱ぎました。

なんと、久保田探偵は時任少年と桂木ちゃんを交換したように見せかけて、実は時任少年を女の子に化けさせていただけだったのです。

敵の裏の裏をかいた見事な作戦のように思えますが、しかし、怪盗二十面相と時任少年が顔見知りである以上、二十面相に変装が見破られる可能性はかなり高かったでしょう。

探偵が単に趣味に走った結果かもしれません。

そして探偵に『時任少年を傍から離す』という選択肢はないのでした。

「ふふふ……まいったよ。確かに君のことは意識の外に置いていた。迂闊だったな」

怪盗は愉快そうに笑って、探偵と助手の二人を見比べます。

怪盗と探偵の会話をじりじりしながら聞いていた葛西さんですが、久保田探偵が他に何も語ろうとしないのを見て、ついに口を出しました。

「誠人……いかにも一件落着、みたいな顔をしてるがな……『泣かない未明』がケースから一瞬で消えたトリックはどーなってんだ?」

「……説明しなくても犯人は逮捕できるっしょ」

探偵は宿敵を目の前にしても相変わらずやる気がありません。

「そーはいかねぇよ。こちとら調書を細かーく書かなきゃなんねぇんだ。めんどくさがってねぇでさっさと説明しやがれ」

「しょーがないなぁ」

久保田探偵は溜息を一つ吐くと、すぐ傍にある『泣かない未明』が収められていた蓋の開いた台の上に、懐から取り出したセブンスターの箱を置きました。

「時任、ヨロシク」

それだけの言葉でしたが、久保田探偵の優秀な助手である時任少年には何が言いたいのか分かったようです。

久保田探偵に向かって頷くと、階段を下りて二階へ走って行きました。

間もなく、先程と同じように眩いライトの光が四方から当たり、皆が眩しさに目を瞑った一瞬の内にセブンスターの姿は魔法のように消え去ってしまいました。

「消えたッ!?」

しかし直ぐにライトの光は消えて、台の上には元のようにセブンスターの箱が鎮座しています。

「ど……どうなってるんだ……」

「人間ってさ、暗いと見えないのは当たり前だけど、逆に明るすぎても見えないんだよねぇ。それを利用したトリック」

戻って来た時任少年の頭をいい子いい子するように撫でて、久保田探偵は説明を続けます。

「大方、防犯の為だとかいって誤魔化して改装した際に、こっそりこの部屋にだけ照明器具を多く付けたんでしょ。元々、この美術館って窓がないから照明器具が多い造りだしね。

まぁ流れとしては、持ってたスイッチかなんかで照明を付けて、『泣かない未明』が消えたように見せかける。そして動揺したふりをしてガラスケースを開ける。

解除スイッチ持ってるのが犯人なんだから折角の電流の罠も意味ないよねぇ。で、照明が消えた隙に張りぼての腹の中に未明を隠す。

後は派手に現れた二十面相のダミーに、他の人と一緒に気ぃ取られていればよかったワケ。俺にさえ疑われなかったら、そのまま館長として堂々と犯行現場から離れられていた」

「これだけの謎解きを一瞬で……」

久保田探偵の鮮やかな謎解きに、その場にいる者は皆、言葉もなくただただ感嘆の溜息を吐き出します。

葛西さんだけは冷静に、

「さて、全ての謎が解けたトコで署まで同行してもらおうか、真田」

銃を突き付けながら、手錠を手にして怪盗ににじり寄ります。

対する怪盗も不敵な笑みを浮かべたまま、

「悪いが、まだこんな所で捕まるわけにはいかないのでね」

いきなり手榴弾のようなものを床に投げつけました。

炸裂音と共に部屋の中は白い煙に包まれます。

「ッ!!?」

「毒ガスかッ!?」

視界は白く閉ざされ一寸先も見えず、息苦しさに咳が止まりません。

皆、げほげほと咳き込みながら煙から逃れようとパニックを起こしています。

素早く冷静に時任少年と自分の口を布で覆った久保田探偵は、見えない中で、

「また会おう、久保田君」

という怪盗の声を聞いたように思いました。

煙が室内を覆っていた時間はそう長くありませんでした。

ステンドグラスの割れた箇所から外気が流れ込み、段々と視界を取り戻していきます。

そこにはやはり、怪盗の姿はなかったのでした。

「あーあ。やっぱり逃げられた」

「他人事みたいな顔すんなよ久保ちゃん……」

「だって、毎回このパターンで逃げられてるじゃない?」

呆れたような探偵助手とやる気のない探偵は顔を見合わせます。

「おいッ!!『泣かない未明』は!?」

「ここ」

葛西さんの怒鳴り声に、探偵は足元を指しました。

そこにはちょこんと『泣かない未明』が置かれていました。何故か薔薇の花が一本添えられています。

探偵への贈り物でしょうか?

しかしそれを無視すると、

「こんなかさばるの持ってたら逃げらんないからねぇ……逮捕は警察に任せたよ?」

「おぉ」

葛西さん達は何処かに連絡を取りながら慌しく出て行き、『泣かない未明』も警察関係者によって保護ケースに収められて何処かに運ばれていきます。

残った探偵は、時任少年の顔を見下ろすとおどけたように言いました。

「時任も守ったし国宝も盗まれなかったし、これにて一件落着……と」

拍手[2回]

そして。

問題の当日。

久保田探偵一行と葛西さん率いる警察は、二十面相の予告状にあった国立宝飾美術館に来ていました。

時間は予告時間までまだ大分余裕のある、昼の十二時頃です。

国立宝飾美術館は、古来より伝わる日本の美術的価値の高い簪やら帯飾りやらの宝飾品から、マニアが収集した世界中の宝飾品など、宝飾品なら何でも集めた煌びやかな美術館です。

少々小作りとはいえ近代的で、美術館としては極々普通の外観です。

大きさ、形が全く同じ三階建ての西館と東館で構成されており、その二棟は二階にある連絡通路でのみ連結されています。。

上から見ると二つ並んだ長方形が細い一本の棒で繋がれたような形をしているのでした。

建物は背の高いメタセコイアの木でぐるりと囲まれています。

そして、メタセコイアの木の陰には黒い影が点々と隠れる様にして身を潜めています。

警察の方々です。

予告状が来てから油断なく警戒を続けている警官の方々。

葛西さんの顔にも滲み出る疲れが見えます。

毎回毎回怪盗に翻弄されているのは可哀想な警察の人達なのでした。

今日こそは憎き二十面相を捕まえんと、建物の周り、特に出入り口と庭、そして建物の内部には通路と展示品の前、それに屋根まで警官を配備する熱の入れようです。

警察がびっちり固める正面玄関をくぐると、恰幅の良い初老の男が愛想よく久保田探偵一同を迎えました。

でっぷりと肥えた腹が印象的です。

「いやー、お待ちしておりました」

ぺこぺこと探偵一行に頭を下げます。

その様子をじっと見ていた久保田探偵は、

「俺は久保田です。一応探偵」

とやる気のなさそうに自己紹介をしました。

しかし、その態度を気を損ねる事なく男は上品で人の良い笑顔を浮かべています。

「お噂はかねがね。私の娘もあなたのファンなんですよ」

「へぇ、それはどうも」

やはりやる気のない返答。

そんな探偵と強面の警察関係者を見渡して、男はふと探偵の傍らに目を止めます。

「こちらの……お嬢さんは?」

場にそぐわない小学生、セミロングの髪を揺らしふりふりスカートを穿いた女の子。

探偵の隣に立って、勝気そうな瞳で物珍しそうに辺りを見回しています。

「あ、ウチの事務所の桂木ちゃんって女の子です。裏の所長」

「誰が……ッ!」

怒鳴りかけて慌てて口を噤み、むすーと頬を膨らまします。

そう。探偵はいつも決して傍から離さない時任少年を事務所に置いて、代わりに久保田探偵事務所影の実力者、桂木ちゃんを助手として現場に連れてきていたのでした。

「現場に子供を連れてきても大丈夫なんですか?」

心配そうにそういう男。

敵は稀代の悪党二十面相。狙われているのは国宝。

子供を助手にするような探偵に一抹ではない不安を覚えるのは当然のことです。

「ご心配なく。ウチの事務所にいるのは皆子供だけど、俺より全然優秀なんで。事件解決の殆どは彼らのおかげですよ」

きっぱりと断言して、ね、と視線を下げて微笑みます。

「それはそれは」

探偵の自信満々な態度に不安が緩和されたのか、元の柔和な表情に戻って、今度は物珍しそうに探偵の助手を眺めています。

「それにしても可愛らしい格好をしてますね」

館長さんがしげしげと見つめる先には、猫耳帽子を目深に被りにゃんこバックを下げ羞恥と怒りにぷるぷる身を震わせている女の子が一人。

「でしょー。いや、今日は俺のにゃんこがいないから淋しくって。つい」

久保田探偵は悪びれずに笑い、下から殺気の籠ったすーごい目で睨まれています。

「いやー、私の娘も昔はこのくらい可愛かったですよ」

緊張感なく笑う男に、久保田探偵は先ほどからずっと抱いていた疑問を投げ掛けました。

「で、お宅は?」

「ああ、申し遅れました。私はここの館長をしている杜若というものです」

館長さんは慌ててそう挨拶して、久保田探偵に名刺を渡しました。

「ご丁寧にどーも」

探偵は受け取った名刺をそのままにゃんこ助手に渡します。

渡された名刺はにゃんこバックに収められました。

実はこのにゃんこバック、少年探偵団全員に支給されていて、中には高性能ペンライトや携帯布梯子といった探偵七つ道具と少年探偵団のマークが彫ってある虫眼鏡が収められています。

しかし、余りにも探偵の趣味に走ったデザインの為、室田等は中身を他の鞄に詰め替えちゃったりしています。

「じゃ、早速ですが『泣かない未明』を見せて貰えます?」

「勿論です。奥へどうぞ」

受けつけカウンターのある小ホールから、少し狭い廊下を通って館長さんは奥に皆を案内しました。

奥には百畳程のだだっ広い長方形の空間があり、壁の両側には展示品の数々を陳列したガラスケースが並んでいます。

白亜の大理石が床も壁も覆っており、一面真白です。

その清廉な柔らかい白乳色の空間に、ライトに照らされた宝飾品がガラスケースの奥から眩く輝いており、ちょっとした異空間のようでした。

「うわぁ……ッ!」

小さな探偵助手も思わず声を上げるくらいです。

「中々のものでしょう。この西館の一階には中世から江戸時代までの、日本の歴史ある宝飾品の数々を飾ってあります」

館長さんは自慢そうに説明しながら、そのまま入り口の傍の階段を上っていきます。

「ご覧のように当美術館は各階に大きな部屋が一つしかありません。東館も同じです。各部屋其々の陳列品は違って、西館一階は中世から江戸時代までの日本の宝飾品、二階はコレクターから借り受けた珍しい収集品達、三階は当美術館が掻き集めた世界中の宝飾品、東館も大体似たようなレイアウトで、一階が日本の近代から現代までのもの、二階、三階は西館と同じです」

壁と同じ白亜の階段を上りきって、一行は三階に出ます。

フロアの大きさも部屋の手前と奥に階段があるレイアウトも下の二つの階と同じでしたが、一階二階には全く窓がなかったのに対し、こちらには部屋の入り口近くにバルコニーのある大きな窓があり、更に奥の壁には薔薇窓風の豪華なステンドグラスが嵌っていました。

ステンドグラスの真下は一段高くなっていて、そこに一つのガラスケースが目立つように配置されています。

館長さんは久保田探偵達を奥のガラスケースへと案内しました。

「この美術館には目玉の宝が二つあります。一つはビロードとプラチナの台座にダイヤモンド、黒真珠、サファイアをふんだんにあしらった宝冠『泣かない未明』、そしてもう一つは金の鎖に大粒のドロップ型エメラルドが付いている『暁の緑涙』です」

館長がガラスケースを指差しました。

「コレがその『泣かない未明』です」

幾重にも張り巡らせた防犯の罠の中に鎮座するその宝冠は、中央にでんと据えられた三百三十カラットの巨大なスターサファイア、その周りを取り巻く星のようなダイアモンド達、プラチナの台座に、宝冠を縁取る上品な光沢の黒真珠、黒いビロード。全体的に暗く、重々しい雰囲気でしたが、それが荘厳で侵し難い高貴さを醸し出している、まさしく名工による名作でした。

「細工もさることながら、『アジアの星』と呼ばれているスターサファイアがもう貴重な一品でして。国宝というよりは世界の宝ですよ」

熱を込めて力説しています。

「歴史的価値の高い平螺鈿背八角鏡などを本来なら当館の目玉にするべきなんでしょう。ですが、これも中々の由緒がありましてな。

そもそも、これはイギリス王室秘蔵の、ブラックプリンス・ルビーが嵌ったかの有名な王冠に似せて造られているんですが、それはロシアが台頭し始めた時代、ロマノフ王朝が当時覇権を握っていたイギリス王朝に対抗して造らせたからなんですよ。

しかし、貴重さや価値さでいえばどちらの王冠にも甲乙付け難い。いや、ブラックプリンス・ルビーは結局バラス・ルビーなワケですから本物のスターサファイアがあしらわれたこちらの方が価値は高いかもしれないくらいです。

ロマノフ王朝が滅亡した際に流出し長い間行方知れずとなっていましたが、我が国のロマノフ収集家、故大川氏が血と執念の果てに見つけ出し、彼の死と共に当館へと寄贈されまして、本来ならスミソニアン博物館やトレチャコフ美術館所有になっていてもおかしくない希少な品がこうしてここにあることに数奇な運命と因縁を感じてしまいますよ。

『暁の緑涙』やその他の品も大川氏寄贈でして、どれも稀に見る名品ですが、私個人としては特にアレキサンドライト造りのインペリアルイースターエッグの細部の素晴らしさが……」

「流石に詳しいですねぇ」

ほっとくと何時までも喋り続けそうな館長さんを久保田さんが遮ります。

「仕事ですからね」

館長は照れたように頭を掻いて、はっとしたように建物の説明を再開しました。

「建物は防犯の面からご覧の通り窓がありません。が、室内は隅々まで照明の光が行き渡り死角はありません。外へ出る為の出入り口も西館東館それぞれに一つのみで、通常の順路は西館から入って一階二階三階と上りまた二階に下りた後、連絡通路を通って東館の二階三階と周って、一階に下り屋外に出る……と、少々複雑になっています。」

「窓がない……って言ってたけど、三階にはありますよね。バルコニーとステンドグラス」

久保田探偵が簡潔な質問を挟みます。

「ええ、ですが三階からの侵入は不可能です。美術館は三階しかありませんが、各階の天井が非常に高い為、普通の三階建ての建物よりも背の高い造りになっています。

外壁に取っ掛かりもない上、メタセコイアの木も建物から大分離れている為、外から侵入することは絶対に出来ません。屋根から入ろうにも鼠返しに阻まれ、例えバルコニーから屋根へ登ることは出来ても屋根からバルコニーへ降りることは出来ません」

「ふーん」

「ガラスケースのガラスも皆強化ガラス。鍵は私一人しか持っていません。更に今回の二十面相襲撃に備えて『泣かない未明』のケースの底には、不届き者が触れれば瞬時に大人が気絶するほど強力な電流が流れる仕掛けを投入しました。

やはり、これの解除も私にしか出来ません。鉄のガードを誇る建物とこれだけの警察官。おまけに久保田探偵までいらっしゃる。流石の二十面相も今度ばかりは尻尾を巻いて逃げ出すでしょうな」

実に自信たっぷりです。でんと突き出たお腹も自信を表すかのようにゆさゆさ揺れています。

しかし、肝心の探偵は、

「どーでしょうねぇ」

自信どころか興味もなさそうな相槌を打ち、しかし怜悧な双眸は何事かを深く思案しているかのように細められています。

「で、東館の方は?」

「東館の方は扉で封鎖しています。『暁の緑涙』はそっちにありましてね。お見せできないのが残念ですよ」

「それなら……今俺らにできることはないかな?」

探偵は傍らの小さな助手と目を見合わせ、その手を握ってから、

「予告時間まで大分ありますし、展示品見せてもらってもいいですか?できれば詳しい解説付きで」

と言いました。

「ええ、是非!」

館長さんは満面の笑みを浮べました。

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