時任可愛い
「メリ~クリスマス~」
玄関の扉を開けると、そこには赤い服を着て白い袋を背負った白髭の男がいた。
思わず固まる。
俺が出迎えようとしたのはバイト帰りの久保ちゃんだった筈だけど……
「誰」
「どう見てもサンタっしょ」
「どう見ても付け髭した久保ちゃんだろ」
「バレちゃったか」
等と言いつつ、久保ちゃんはぺりぺり付け髭を剥がした。
バレるバレないの話ではない。
「何事だよ」
確かに今日はクリスマスだ。
サンタが来る日。
でも、だからって久保ちゃんがサンタの格好してる説明にはならねぇ。
「この前、時任にクリスマスの説明したじゃない」
「ああ……」
久保ちゃんと迎える、そして覚えてる限り初めてのクリスマス。
そもそものクリスマスの意味を知らなくて、俺は久保ちゃんに聞いた。
久保ちゃんは、良い子の所にサンタさんがプレゼントを配りに来る日だよ、なんて答えて、俺はふぅんと納得したのだ。
それが何だ?
「時任、良い子だからサンタさんのこと待ってると思って」
久保ちゃんは真顔でそう言った。
はぁあ?
俺は呆れ返る。
「良い子って年じゃねーだろ。俺のこといくつだと思ってんだよ!」
「いくつなの?」
「知らねぇ!」
「だよね」
信じらんねぇ……コイツ、俺のことそんな風に思ってたのか……っていうか。
「っていうか……サンタとかいねぇだろ」
「……」
今度は久保ちゃんが固まった。
珍しく細い目を見開いている。
なんでそんな衝撃受けてんだよお前!
まさか……サンタの格好すりゃ俺が信じるとでも思ってたのか……?
俺のことを軽く馬鹿にしてる気がする。
「……とりあえず入れよ」
サンタの扮装してる久保ちゃんをこれ以上玄関の外に突っ立たせておくのもアレで、入るように促す。
無言で中に入った久保ちゃんの背中で、白い袋がわさわさ揺れる。
「それ中身、何?」
久保ちゃんは少し微笑んで袋を肩から下ろした。
次々と箱を取り出して俺に手渡していく。
「ケーキと」
この箱の大きさはホールサイズだ。
「チキンと」
この箱の大きさはケンタのファミリーパックだ。
「クリスマスプレゼント。はい」
この箱は……何だ?
っつーか、この格好で全部買いに行ったのか……
クリスマスプレゼントだという箱のリボンをほどいて、包装紙をガサガサと破く。
出てきたのは欲しかったゲームソフトだった。
思わず頬が弛む。
「お、新作じゃん」
パッケージを裏返したり中の説明書取り出したりしてたら、久保ちゃんがじっと俺の顔を見ていることに気付いた。
「何だよ」
「その顔が見たかったんだ」
何気なく伝えられたその言葉の意味を理解した瞬間、身体中の血液が顔に集まった。
「はずッ」
顔を逸らしてぶっきらぼうに吐き捨てた。
久保ちゃんの顔が見れない。
「鵠さんにサンタ衣装借りて良かった」
「なんでモグリがサンタ衣装持ってんだ!」思わず突っ込む。
目が合った。
久保ちゃんは楽しそうに笑っている。
こんな気持ちになるのは、クリスマスだからだろうか。
久保ちゃんと過ごすクリスマスだから。
「さんきゅ。メリークリスマス、久保ちゃん」
久保ちゃんが見たかったという顔で、俺は笑った。
玄関の扉を開けると、そこには赤い服を着て白い袋を背負った白髭の男がいた。
思わず固まる。
俺が出迎えようとしたのはバイト帰りの久保ちゃんだった筈だけど……
「誰」
「どう見てもサンタっしょ」
「どう見ても付け髭した久保ちゃんだろ」
「バレちゃったか」
等と言いつつ、久保ちゃんはぺりぺり付け髭を剥がした。
バレるバレないの話ではない。
「何事だよ」
確かに今日はクリスマスだ。
サンタが来る日。
でも、だからって久保ちゃんがサンタの格好してる説明にはならねぇ。
「この前、時任にクリスマスの説明したじゃない」
「ああ……」
久保ちゃんと迎える、そして覚えてる限り初めてのクリスマス。
そもそものクリスマスの意味を知らなくて、俺は久保ちゃんに聞いた。
久保ちゃんは、良い子の所にサンタさんがプレゼントを配りに来る日だよ、なんて答えて、俺はふぅんと納得したのだ。
それが何だ?
「時任、良い子だからサンタさんのこと待ってると思って」
久保ちゃんは真顔でそう言った。
はぁあ?
俺は呆れ返る。
「良い子って年じゃねーだろ。俺のこといくつだと思ってんだよ!」
「いくつなの?」
「知らねぇ!」
「だよね」
信じらんねぇ……コイツ、俺のことそんな風に思ってたのか……っていうか。
「っていうか……サンタとかいねぇだろ」
「……」
今度は久保ちゃんが固まった。
珍しく細い目を見開いている。
なんでそんな衝撃受けてんだよお前!
まさか……サンタの格好すりゃ俺が信じるとでも思ってたのか……?
俺のことを軽く馬鹿にしてる気がする。
「……とりあえず入れよ」
サンタの扮装してる久保ちゃんをこれ以上玄関の外に突っ立たせておくのもアレで、入るように促す。
無言で中に入った久保ちゃんの背中で、白い袋がわさわさ揺れる。
「それ中身、何?」
久保ちゃんは少し微笑んで袋を肩から下ろした。
次々と箱を取り出して俺に手渡していく。
「ケーキと」
この箱の大きさはホールサイズだ。
「チキンと」
この箱の大きさはケンタのファミリーパックだ。
「クリスマスプレゼント。はい」
この箱は……何だ?
っつーか、この格好で全部買いに行ったのか……
クリスマスプレゼントだという箱のリボンをほどいて、包装紙をガサガサと破く。
出てきたのは欲しかったゲームソフトだった。
思わず頬が弛む。
「お、新作じゃん」
パッケージを裏返したり中の説明書取り出したりしてたら、久保ちゃんがじっと俺の顔を見ていることに気付いた。
「何だよ」
「その顔が見たかったんだ」
何気なく伝えられたその言葉の意味を理解した瞬間、身体中の血液が顔に集まった。
「はずッ」
顔を逸らしてぶっきらぼうに吐き捨てた。
久保ちゃんの顔が見れない。
「鵠さんにサンタ衣装借りて良かった」
「なんでモグリがサンタ衣装持ってんだ!」思わず突っ込む。
目が合った。
久保ちゃんは楽しそうに笑っている。
こんな気持ちになるのは、クリスマスだからだろうか。
久保ちゃんと過ごすクリスマスだから。
「さんきゅ。メリークリスマス、久保ちゃん」
久保ちゃんが見たかったという顔で、俺は笑った。
この記事にコメントする