時任可愛い
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前回のスパコミから一年が一年が経ち、ふと思い立ってメイキングというか解説的なものを書いてみたいと思います。
何もかも書くので、去年のスパコミで発行された久保時精神的SMアンソロジー『ガルシアマルケスと百年の恋』を読んだ方及び今後読む予定がない方、対象です。
少しでも興味がある方は是非アンソロをお求め頂けると嬉しいです。色んな素敵な久保時の宝石箱のようなアンソロですので。
本来私は自分の小説のあとがきをめちゃくちゃ長く書きたいタイプなのですが、数年前から作品のことは作品で語るべきだと思い、あまり触れないように心掛けていました。
それに、読んで頂いた時点でその作品の解釈は読者に委ねるべきだと思うんですよね。
私が青って思って書いたものでも赤って思われたのならそれで良いと思っています。
あくまで私はそう思ってるってだけですけど。
だから本当にコレ書いたらすげ~~~蛇足になるんじゃないかな~~~~~と思いつつ、読みたいって言って頂いたのもあり、一応、これっきりのつもりで思いっきり書いてみたいと思います。
前置きが長くなりましたが。

メイキングですが、私全ての小説がそうなんですけど、思い付いたところ⇒会話⇒先頭から会話文を埋める⇒詰ったら書けそうなところから書く⇒また先頭に戻る⇒をひたすら繰り返して書いています。
ひらめきを待ちたいタイプ。
この書き方の欠点は、進捗が分かりづらい点と誤字脱字ってレベルじゃない文章丸ごと漏れの危険性ですね。
ただ何回も何回も読み直しながら書くので、意外とまるっと漏れた事はない気がする(誤字脱字はヤバい)
いつから書き始めたのか忘れたのですが、3月中旬時点での全文は↓です
-------------------------------ここから-----------------------------------------------
 『PTSDの治療として、現在、国際的に認知行動療法がよい評価を得ています。トラウマを直接扱う治療法です。いくつかの方法が有効であることが確認されていますが、その核になっているのは、トラウマへのエクスポージャです。あまりいい訳語ではありませんが、日本語では「曝露療法」と訳されています。つまり、トラウマの記憶に積極的に「さらされる」ことによってトラウマの記憶を対処可能なものにしていくことです。たとえば、ある場所で強姦の被害にあった人がその場所にもう一度行くと非常に具合が悪くなることがあります。トラウマを思い出させるものへのエクスポージャ(曝露)があったわけです。はじめはそういうエクスポージャをコントロールしながら、安全な 場所で、しかも助けてくれる人が一緒にいるところで行います。エクスポージャ・セラピーをすると、刺激にさらされても私は何とかコントロールできるという感覚がだんだん戻ってくると言えます』(小西聖子『トラウマの心理学』より)
 あの時か、それとも。
 きっかけは分からない。あいつには『駄目なこと』が少しずつ増えていった。それも、日常生活が困難になる程に。
 例えば、ガソリンスタンド。傍を通った時、急に口元を覆って吐き気を堪えるようにしゃがみ込んだ。直ぐに抱きかかえてその場を離れたが、前髪の隙間から除く顔貌は血の気が失せて真っ白で、滝の様な汗がしとどに額を濡らしていた。後で尋ねると「ガソリンの臭いが気持ち悪ぃ」と言っていた。それ以来、ガソリンスタンドのある道は使っていない。
 バスに乗るのも嫌だという。嫌だというものを無理に乗せる気はなかったが、乗車すればどうなるのか想像は出来た。
 極めつけは、火★と煙。
 ある日の、バイトでの帰り道だった。高い空にうろこ雲が広がり、微かに木蓮★の香が混ざる風に紫煙が流されていく。隣を歩くあいつは「サンマが食べたい★」と言っていた。俺がなんて答えたのかは覚えていない。とても穏やかな心地だった。周りは住宅街で、道行く人の姿はなかったが、生活する人の気配は其処らから感じた。
 あいつがふと足を止めた。目を見開いて一点を凝視していた★。きな臭さが鼻先を掠める★。視線の先には、個人宅の庭先でパチパチという軽い音を立てて燃える落ち葉の山。焼き芋でもしていたのかもしれない。平和な光景だった。
 あいつは突然叫んだ。痛みを堪えるように頭を抱え、腹の底から声を絞り出すようにして。体の中の酸素を全て絶叫に変えると、その体はぐらりと倒れ込んだ。咄嗟に抱き留める。
「時任……!」
「はぁッはぁッはぁッ……!!」
 自らの頭を強く掴んだまま喘ぐ様に呼吸する体を、フラッシュバックのきっかけになったのであろう炎と煙が目に入らないように胸の中に押し付ける。肩で息をしていたあいつは漸く一息ついて静かに凭れ掛かってきた。今の季節、肌寒い程だというのに手を回した背中はパーカーの布地が大量の汗を含んでぐっしょりと濡れていた。
 少し前までのあいつは炎を見ても取り乱さなかった★。けれど今はライターの小さな火さえもフラッシュバックの種になる。フラッシュバック発症時の症状は気分が悪くなる程度の時もあれば、酷い時は我を無くし叫んだ★。そんな状態で一人ではとても部屋から出すことは出来なかった。部屋ではコンロも使えなかった。仮住まいの間取りは狭く、コンロを使えば炎があいつの目に映る可能性が高い。湯も沸かせず、食べるのは専ら俺がコンビニで買ってきた弁当だった。『駄目なこと』を避け続ける内に、俺たちの行動範囲は本当に狭くなった。
 気分が悪くなる度、もしくは取り乱して我に返る度、★必ず一言こう呟いた。
「だっせぇ……」
 と。
 この状態はあいつの本意ではないのだろう。


 「俺、逃げたくない★」
 聞いたことがあるような台詞だと思った。

「手伝って」
何を、なんて聞かなくても分かる。
「お前、何焦ってるの?」

この現状を俺はそこまで悪くは捉えていなかった★。どの道、追われる身。不自由は承知の上だ★。
「無理しないでよ」
俺は本心から時任を傷付けたくないと思っていた★。真綿に来るんで砂糖をまぶして優しく甘い世界に押し込んで大切に守りたいと思っていた。
現実から解離したふわふわの夢の世界で二人微睡んでいたいと。

「じゃあ、このままずっと部屋から出ねぇでコンビニの弁当だけで生きていくのかよ。最初は★俺だって気分悪ぃから近づきたくなかったよ。バスにも炎にも……でも、そうやって……ヤなことから避け続けてると、なんかどんどん色んなことが駄目になっていってる気がする★」

「こんなんじゃ、WAも★」

「久保ちゃんのカレーが食べたい★」

歪な強度の精神★。
お前の中身を受け止めることができる人間なんて世界中の何処にも居ないのだろう★。

何処にも居ないのなら、俺がやるしかなかった。

「分かった……」
「サンキュ、久保ちゃん★」

所謂トラウマ、PTSDの治療法について俺は調べた。
調べるほどにあいつの症状の深刻さと今後の困難を痛感する。
本来、治療には専門的な知識が必要だ。
調べて分かったが、記憶喪失はPTSDの中でも重篤な症状であり、極めて治療が難しく、素人の手に負えるようなものではなかった。
下手に対処しようとすれば悪化させる危険性もある。
しかし、追われる身である★俺たちが通院などできる筈もない。右手のこともある。何より他人にあいつを委ねたくなかった。
やるしかなかった。
「エクスポージャー療法っていうのがあるんだけど、試してみる?」
「やる」
あいつは即答した。そして、尋ねた。
「どんなの?」
やると決めてからどんなものか聞くなんてあいつらしい。
「避けてたことに向き合うだけ。何度も何度も。慣れるまで」
それがPTSDを克服するために最も有効な手段だった。
★自分の正体を探ることは記憶喪失というPTSDの治療観点でも有効だったのかもしれない。
逃げないと言ったあいつは正しかった。
痛みや苦しみに惑わされず、いつも正しい方を向いている。★
「……分かった。やってみる」

「トラウマの元に遭遇した場所に行くのが有効らしいけど、場所なんて知らないしね。分かってる範囲で試してみよっか。それで、フラッシュバックが起こった時の対処法を見つけよう。★一定の行動とったりするのが良いらしいけど、なんかある?」
「……一回だけ、自分で戻ってこれたことがある」
照れくさそうに、その時は頭の中で久保ちゃんが俺を「時任」と呼んで抱き締めたと言った★。
「いつでも名前を呼ぶし、抱き締めるよ」



「これは何?」★
「ちゅう、しゃ、き」★
あいつは既に苦しそうだった。★
鵠さんに借りたものだ★
腕に押し付ける★
目を瞑りたくなる衝動を必死に我慢していた★
耳元で囁いた★
「ミノル」
簡単に正気を失った。★
『名前★を呼ばれること』はあいつの駄目なことの一つだった。
「時任」
あの時は耳を噛んだけど。★
「時任」
暴れる体を抱きすくめながら名前を呼び続ける。★

「……くぼ、ちゃん」

「久保ちゃん」
「うん」
「久保ちゃん」
「うん」
「名前、呼んで」
「……時任」
「久保ちゃん」
「時任」
「……久保ちゃん」
「なんか、バカップルみたいじゃない?」
「ばーか」

★外出もするようになった。
バスにも乗り、★
★それらはあいつの精神を単純に追い詰めた。
あいつの苦しみの日々は続いた。

抱き締めて直ぐに正気に返ることもあれば、いつまでも叫んでいることもあった。★
吐き癖が付き、眠れば悪夢に魘された

あいつの苦しむ姿は俺に現実の輪郭を教えた★
トマウマに苦しむただの人間であると。★
それは俺をも苦しめた。★
ごめんね。お前の事、神様か何かだと思ってた。★
だって人間はね、自分の現実をそんな真っ直ぐな目で直視したりは出来ないんだよ。★

細い体は更に細く筋が痛々しい★
治癒途中が一番辛いというが、あいつは本当に治りかけているのだろうか。
エクスポージャー療法を始めて二ヶ月★ほど経つが、一向に症状は改善せず、ただただ悪戯に衰弱しているかのように俺には見えた。
所詮は素人療法。やり方が間違っている可能性もある。
しかし、どれだけ衰弱しようとあいつはやめるとは一言も言わなかった
トマウマを自分が克服するとこを疑ってはいないようだった

人間としての質量が減った彼★は歩く強靭な虚栄心のようだった。


 今日も二人、バス停でバスを待つ。まだ、一区間がやっとだ★。それでも苦しみながら★乗り続けて慣れるしかない。
 そう思ってたんだけどね。
 最近、思う。足りないんじゃないかと。あいつの症状が良くならないのはただバスに乗車する★のはPTSDの原因となった事象に遠いからなのではないかと。あいつの記憶が戻らない以上、何が原因なのか知る術はない。しかし、想像することはできる。
 視界の隅にバスの車体が映る。★
「危ないから下がりな」
「えっ……?」

バスが爆発した。★
横転した車体が激しく燃える★
赤い炎が鉄の塊を嘗め回し、★
不気味な黒煙★

「うわぁああああああああああああッ!」

「お前のために、バスを一台燃やした」
バスとガソリンと炎と煙を組み合わせたらこうなる。★

「あんなんじゃ効果ないんだろうなって思って」

「凄い熱と臭い」

表皮を炙る熱。★

「あれは悲鳴かな。可哀想に。あんなに燃えてるのにまだ生きてるなんてねぇ」
あいつは嘔吐した。
びしゃびしゃっと滴る嘔吐物の饐えた臭いを強烈な熱風が凪払う。

あいつの顔を掴むと、瞼を無理やり開かせる。★
「よく見て。直視して。あれがお前の……」
お前の、何だろう。

「まだ駄目?★」

「いっそ。全部燃やしちゃおっか。世界にお前と俺だけなら、何にも怖くないでしょ」

砕けた金剛石の欠片に身を削られる苦痛が別の感覚を呼び起こした。★

「お前のその顔、嫌いじゃないよ」

体★が固く強張っている。長いこと息をしていなかった★様な気がした。★

夢だった。
いつも見る夢は明晰夢であるにも関わらず、★夢だと気づけなかったのは……あいつが居たせいか。
上体を起こし★
安らかとは言い難い表情であいつが眠っていた。
無性に体温が★恋しくなって抱き締める。
ぞっとするほど、細い体だった。

追い詰められているのは俺の方なのかもしれないと思った。★

「まだ試してないことがあるよね」

「お前、セックス駄目でしょ」

「個人差はあるけど★、マスターベーションも避けるなんてどうかしてる」
「な……ッ」

「そりゃ分かるよ。一緒に住んでるんだから」
お前のことなら何でも★知ってるよ。
マスターベーションできないことも、魘されながら夢精してることも。
ねぇ、夢の中で何されてるの?
「セックスしよう」

「ま、マジですんの?」
「しよう」

「克服できるまで、何度でも」★

「逃げるの?」
ずるいなぁ俺。ずるいなー
「怖がらないでよ。優しくするから」

「お前は、俺で勃つのかよ」
ああ、本当に馬鹿だなぁ。★

★唇同士を軽く触れ合わせる。

「んッ……!」
鼻に抜ける声を可愛いと思った。

電気は消さなかった。
暗闇がパニックを増長する可能性があったからだ★
抱いているのは俺だとちゃんと見せたかった

羞恥に震える体★

ぎこちなく舌を絡ませる★

上目遣いに俺を見た★
熱を孕んだ瞳が潤み揺らめいている
長い睫毛が震える様を俺は今際の際まで忘れないに違いなかった。

首筋に舌を這わせると、固く体が強張った。★

本当にトラウマなんだな。
裸の胸に頬を擦り寄せた

ああ、肌を重ねている★

「時任」

「怖い?アキラさんは」

「ああああああああッ!」

とても行為を続けられるような状況ではなかったが、俺は半ばむきになってあいつの体を押さえつけた

最近は慣れて感じなかった拒絶の痛みがグリグリと心臓を抉った。★
痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。★
気持ちが、良い。★
この痛みは時任の感覚ではない、俺の感覚だ。★

あいつはもう抵抗しなかった。
★身を縮こまらせて只管★震えていた。

「はぅ……ッ!」

全部お前の為だよ。それは真実。
その結果獲得した痛みで俺がよくなっているだけ。★

「★痛ッ……!」
乳首がピンと立ち上がり、★先走りがだらだらと零れて限界を訴えている

痛い痛いと身を捩る時任★の体は意外なほど興奮を露わにしていた。

★苦痛や恐怖が快楽と歪に結び付けられている。
身体に無理矢理覚え込まされたのか。

「痛いのが好きなんだ?」

ぼたぼたと大粒の涙があいつの頬を伝う★
あいつの泣き顔は見たことがなかったから、息を詰めて見入ってしまった。★

部屋は明るかった。
けれど、あいつは一人暗闇の中で誰かに抱かれていた
ごめんなさいとあいつは誰かに謝り続けている。
謝る相手のいない俺は孤独な快感に苛まれながらずっと腰を揺さぶり続けた。
--------------------------------------------
★が付いているのは最終稿から変わったり文章追加されていたり削除になっていたりする箇所。
前半部分だけちゃんと書いてる段階のようですね
引用文を冒頭にもってきたのは、単純に引用文あったら格好いいかなって思ったのと(笑)エクスポージャー療法が何か作中で久保田にあまり長く語らせるとテンポが悪くなると思ったからです。久保時が作中で何をやろうとしたのかそのまま引用するのが一番わかりやすいと思った。
一番大事なのは『助けてくれる人が一緒にいるところで行います』の部分。
前半の、「あの時か、それとも。」~「この状態はあいつの本意ではないのだろう。」で時間をかけたのは「実際の黄金町にはこの風景が実在する可能性があるのか」を調べることでした。
時間軸的に、七巻の後の逃亡生活~新木さんと出くわすまでのつもりで書いていたので、黄金町の仮住まい付近の情景のつもりで書いています。
ガソリンスタンドはあるのか、焚火をやるような住宅街があるのか。
実際に黄金町を歩き回る時間はなかったのでネットで物件情報とか地図とか見たんですが、結局確信は持てず「まぁあってもおかしくはなさそうだ」で留めました(笑)
ガソリンは明確に作中でトラウマの対象とは言われていませんでしたが、七巻で時任の記憶を呼び覚ましたキーワードの中にガソリンの臭いが含まれていたので。
火と煙を炎と煙に変えたのも、火じゃないなと思って。火は普通に使えてたのでそれまで。
因みに季節は秋のつもりだったんですが(七巻後の一か月以内の話だから)何故か木蓮という春の花をチョイスしていたので慌てて金木犀に直しました。誤字脱字チェックの時に気付けて良かった(笑)
作中の季節はうろこ雲、金木犀、サンマ、焼き芋で表現してます。
また、401号室じゃないので、黄金町の仮住まいはワンルームで衣食住二人とも同じ部屋をイメージしてました。ソファーも小さいけどある。
後、作中の地の文で久保田は時任を「あいつ」としか呼ばないように注意しました。後から検索かけて全て直したので最終稿では残ってなかった筈。。。勿論峰倉.NETネットの日記ネタです。久保ちゃん、「あいつ」としか呼んでなかったんだもん。。。あいつ以外の呼称封印したのでゲシュタルト崩壊しそうでした。くどくなりそうで。。。
「俺、逃げたくない★」~「いつでも名前を呼ぶし、抱き締めるよ」はエクスポージャー療法は何なのかパート。そして、何で久保時がそれをするに至ったのかパート。
ここで私が一番気を遣ったのは、本当は素人は心理療法をやっちゃいけないということです。
やっちゃいけないけど、久保田がやらざるを得ない物理的、精神的事情があり手を出してしまった、と。
「世界中の何処にも居ないのだろう」なので、自分にも手に負えないと思っています。でもやる。他に誰もいないから。
「追われる身である」を「身を隠している」に変えたのは確か、まだ追われてる(自覚がある)とは限らないしな~と思って。
最終稿ではちょっと表現変わってますが、「自分の正体を探ることは記憶喪失というPTSDの治療観点でも有効だったのかもしれない。」は、元々、Dice:47がめちゃくちゃめちゃくちゃショックでPTSDとその治療法調べてた時に思った私の感想。理に叶ってたんだなって。
元々、この話はその時に調べた諸々と七巻読んでて思ったことの総括でもあります。
時任、トラウマの対象増えてるけどこのまま普通に生活できるのかな、とか、エクスポージャー療法試してみたらどうなるのかな、とか。
「照れくさそうに、その時は頭の中で久保ちゃんが俺を「時任」と呼んで抱き締めたと言った」ここも最終稿ではちょっと表現変わってますが、これ久保ちゃん時任に言ってもらえたらめっちゃ嬉しいやろうな~と思って言ってもらった(笑)原作では言わないやろうな~でも言ったら凄い胸熱。
後、この久保ちゃんは時任の前でライターが使えないので煙草を我慢しています。で、久保ちゃんの精神に負荷が掛かったタイミングで心の中で「煙草が吸いたい」と言わせています。
「これは何?」~「人間としての質量が減った彼★は歩く強靭な虚栄心のようだった。」はエクスポージャー療法試してるパートです。
このパートからは★ばっかですね!
「これは何?」「ちゅう、しゃ、き」は流石にやり過ぎやなと思って消してシンプルに書き換えています。
ここのパートは注射器のパーツの正式名称調べたり注射の仕方調べたり。。。
情景描写は苦手なので、最初は簡単に書いて後から盛っています。
後、時任が取り乱すシーンが多いので、原作のそのシーンを何度も読み返しました。
この辺は三巻と五巻を意識していた筈。
何故かこの段階では時任が久保ちゃんの名前を連呼していますが、最終稿では久保ちゃんが時任の名前を連呼しています。
名前を呼び合うバカップル感を強調するために会話文のみ。
後半は治療が上手くいっていないシーンですが、
「あいつの苦しむ姿は俺に現実の輪郭を教えた★
トマウマに苦しむただの人間であると。★
それは俺をも苦しめた。★
ごめんね。お前の事、神様か何かだと思ってた。★
だって人間はね、自分の現実をそんな真っ直ぐな目で直視したりは出来ないんだよ。★」
はバッサリ削りました。
このシーンを削るのは凄く悩んだんですが、話の後半の久保ちゃんのゲスっぷりを際立たせる為に前半を敢えて時任に献身的で優しい久保ちゃんで纏めました。
メリハリというか落差を付けたかったんですよね。
そういう趣旨じゃないとは分かっていながらも私は私と読者の方の精神的SMを意識していたので(笑)
「今日も二人、」~「お前のその顔、嫌いじゃないよ」が久保ちゃんの夢パート。
このパート書くのが一番楽しかったです(笑)
実はエクスポージャー療法を久保時に試みて貰うに辺り、ど~~~~~~~~~~しても久保ちゃんにバスを爆破してもらいたかった!!!!!
私の中の理想のゲス久保ちゃんなら時任の為にバス何台でも爆破してくれる筈、でも原作軸の久保ちゃんはそこまでゲスじゃないかもだしそもそも今そんな金あるの?現実的に無理じゃないか?という葛藤の落としどころとして夢オチになりました(笑)
実際の久保ちゃんはここまでゲスじゃないけど久保ちゃんは自分のことをこんなゲスだって思ってるかもなって。
私の趣味で久保ちゃんが鬼畜方面に煌いてしまいましたが全ては夢だからです。
我慢を止めた久保田なので夢の中だけ煙草を吸っています。
ここのパートで調べたのは、バスのバス停とバス停の間をなんていうのかと(区間だと思ってたけど駅だった)燃えてるバスってどんなのかです。
燃えてるバス動画を色々見漁りました。
見た通り書いたのが最終稿のアレです。
「世界にお前と俺だけなら」は画集のくもりガラスのイラストを意識してますね。
金剛石はダイアモンドのことですが、私は時任をダイアモンドに例えがちな女です。硬いのに一点からの衝撃や炎に弱いのマジ時任。
「体★が固く強張っている。」~「ずっと腰を揺さぶり続けた。」はエロパート。
サイレンで悪夢から目覚めてるのは昔の先生のHPにあった「Mourning call」を意識してですね。
「いつも見る夢は明晰夢であるにも関わらず」の一文には、私は夢パート書いてる時に「やべ…久保田、明晰夢見るのに夢だって気付かないのおかしくね!?」って焦ってドラマCD聞き直したら時任いないから夢だって分かるって言ってて「時任居るからセーーーフ!!!!」ってなった思いが込められています(笑)
このパートは書くの凄いしんどかった。。。もうエロ書く体力がない。
エロもですけど、「七巻読んでて思ったことの総括」と「お題である精神的SM」の擦り合わせが凄く難しくて。
「七巻読んでて思ったことの総括」の面では『久保時が時任のトラウマ治療を頑張る』話なんですけど、「精神的SM」面では『精神的にも肉体的にもドSでドMの久保ちゃんが時任を使って一人SMしてる』話なんですよね。
時任の『セックスが駄目』っていうトラウマ抉っているようで(このトラウマ自体は私のねつ造というか願望ですが)本当は知りたくなかった久保田自身のメンタルを敢えて自分で抉ってるっていう。
私は時任は精神的にはSでもMでもないと思っています(でも作中では肉体的にはMということにしています。アキラさん絡みで)
前半パートでは時任のしんどさを前面に出していたのですが、後半ではその陰で追い詰められていた久保ちゃんのしんどさが夢(直接的には抱きしめた時任の身体が余りにも痩せてた恐怖)を切っ掛けに性欲として爆発した感じです。
この辺が上手く伝わる様に書ききれなかったな~というのがこの話の反省点ですね。。。上手いこと書けなかったのでごっそり削ってあなたの受取り方にお任せします形式にしてしまった。
「痛い。痛い。痛い。痛い。痛い。★
気持ちが、良い。★
この痛みは時任の感覚ではない、俺の感覚だ。★」
とかもそれが理由で削った気が。
エロパートが、最初コミカル⇒甘々⇒ほぼ無理やりになってるのも落差をつける為です。
それにしても「はぅ……ッ!」だけ書いてるのってよっぽどこの喘ぎ声時任に言わせたかったんだな。。。一年前の私。。。
最期の一文の「孤独な快感に苛まれながら」はタイトルの「ガルシアマルケスと百年の恋」の恋の部分が本当が孤独なので(ガルシアマルケスの著作は百年の孤独)タイトルから無くなった(久保ちゃんの一人SMの)孤独がこの話のテーマですよ、という、そんなオチでした。
まぁ元々別の話で考えてたタイトルですけど!(笑)
は~~~~~~~~書いた。もう思い残す事は無い。

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