時任可愛い
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嫌よ嫌よも好きの内……って凄く都合のいい言葉だよなぁ。
加害者側の論理だ。
なんで嫌がってる相手の気持ちをそんな自信満々に決めつけられるの?
セックスしたら否応無しに生じる情があるのかもしれなくて、それに賭けてるのかもしれないけど、賭けに負けたらただの犯罪じゃない。
賭事は嫌いじゃないけど。
なんてね。


喉に吸い付くと、鼻にかかった声を上げた。
羞恥心からか唇を噛み締めて必死に声を上げまいとしているけども、堪えきれずに漏れる声に脳が痺れて、自分の衝動を止められなくなる。
もっと突いて鳴かせたくなる。シンプルな欲情だった。
ずっと抱きたいと思ってた。
何故かは分からないし考えたこともないけど、時任に欲情する、それは確かなことだった。
身体は素直で分かりやすい。
無理やり事に及ぶつもりはなかった筈なのに説明に足る言葉が喉から出てこなくて、無言のまま押し倒して、唇を重ねて、舌を差し込んだ辺りで驚いたように押さえつけた体は暴れ出したけど、そこで止められる筈もなく後は済し崩しだった。
強姦。
なんだろうなぁ。
セックスしてるって分かってるかな、時任は。
流石に分かってるかな。
押し倒した時はただただキョトンとしてたけど。
なんて無知。
その無知を知っていた俺には説明責任があった筈だ。
なのに、何の言葉も出てこなかった。
強いて言えば、ただ時任とセックスしたかった。
理由はないけどただヤりたいって言ったら、殴られてたかな。
現状も充分、殴られるに値するけど。
「時任」
揺さぶりながら名前を呼ぶ。
顔が見たくなって、目を覆っている左手を掴んで退けた。
細い腕は抵抗を忘れたかのように脱力し、されるがままだった。
濡れた目が、俺を見る。
普段は強い意志の光を宿す瞳が涙に滲み、熱に蕩ける視線が、それでも強く俺を焼いた。
スッゴく腰にクる、目。
腰だけじゃない、胸の奥の、そこに心というものが在るなら、それを鷲掴まれ爪を立てられたような――痛みは。
それでいて甘い、これは。
「あー……俺、お前に恋してたのか」
「……はぁ……ッ!?」
こんだけしといて今更何言ってんだお前!!
喘いで、マトモに言葉を発するのもままならない口の代わりに目がそう訴えてくる。
確かに。
「今、気付いた」
抱いてしまえばこっちのもの、とはいうけれど、抱いて自分の気持ちに気付くのが俺の方だとは。
「……ぁッ……ざっ……けん、なッ」
ごめんね?
「好き、時任」
初めて口する言葉は、興奮を煽って、
「愛してる」
まるで媚薬みたい。
「ばっか……ッ……俺、は……」
ずっと前から好きだった。
途切れ途切れに言われた言葉に笑って、頷く代わりに穿って、甘い痛みと熱に溺れた。


 


ホントはコレが恋とか好きとか愛とか、それで正しいのか分かってなかったけど、欲情だけじゃないんだよ、それは本当。
重ねた肌と熱の中で答えを見つけさせてよ。
俺とお前の関係に、正解なんてないのだとしても。

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